ポルトガルグループ
ブラジル連邦共和国
©Artyominc
南米におけるポルトガル植民地は、ブラジルただ一国です。それでも、南アメリカ大陸のおよそ半分を占める広大な土地と人口を抱えた国ですから、その植民地経営、国家経営は困難だったことでしょう。しかしながら、他のスペイン系南米諸国の多くが、国内の政争と対立で自滅の道を歩んで行ったのに対して、ブラジルは、過去に戦争や紛争によって国内が大混乱したということはありませんでした。
また、スペイン系南米諸国のすべてが、スペイン王室からの独立を戦争と多大な犠牲をもって勝ち取ったのと好対照に、ブラジルの場合は、ナポレオン戦争に敗退し、ブラジルに逃げたポルトガル王室が、自ら進んで独立を主導したため、平和裏に、一滴の血も流さずに独立が達成されました。
鉱物資源に関しても、スペイン、特にボリビアの銀山が初期のスペイン植民地経営の目玉であったのに対し、ブラジルでは金山がその役割を果たします。
産業形態においても、他のスペイン系南米諸国とは決定的な違いがあります。他の南米諸国の産業が農畜産物や鉱石輸出などの一次産品大きく依存してきたのに対し、ブラジルでは早くから工業化が進み、2013年には一人当たりのGDPが世界第7位、南米最大の経済大国となり、ロシア、中国、インド、南アフリカと並んで新興経済国(BRICs) の一端を担うまでになりましたが、翌年から経済の低迷が始まり、2019年には世界75位の地位にまで落ち込んでしまいました。
以下では、ブラジルの歴史と現状について、より詳しく見ていきましょう。