ペルー副王領グループ

チリ、ペルー、ボリビア

マチュ・ピチュの歴史保護区 (ペルー)cc Martin St-Amant

 ペルーといえば、なんといっても古代インカ帝国の中心として有名ですね。ペルーでは、ナスカ文明などが紀元前から栄え、12世紀には、現在のクスコを中心にインカ帝国が成立しました。一方、ボリビアにも、アンデス最古の文明が紀元前3000年から栄えていたことがわかっており、15世紀以降はインカ帝国の領土にもなっていました。インカ帝国の領土は、北はコロンビアの一部からペルー、ボリビアを経て、南はチリ中部に至る広大なものだったことがわかっており、高度な文明が存在したことはあまりにも有名です。

 そのインカ帝国は15世紀、ピサロ将軍率いるスペインの侵略を受け、1533年に、とうとう滅亡してしまいました。以後、ペルー、ボリビア、チリは「ペルー副王領」としてスペインの支配下に入りますが、ボリビアは1776年にラ・プラタ副王領に編入。チリは1778年からチリ総督領として独立したスペイン植民地になります。

 ペルー副王領の特色は、かつて銀、硝石、グアノなどの一大輸出基地だったことです。特にボリビアのポトシ銀山から輸出された大量の銀は、中世ヨーロッパに貨幣経済をもたらし、経済の性質を根本から変えてしまいました。また、特にイギリスに独占的に輸出されていた硝石やグアノ(肥料に用いられる)は、ぺルーおよびチリの海岸に広く点在するため、この所有権をめぐって、三国間で戦争が勃発したこともありました。

 さて、ペルー副王領は、1810年にチリが、1821年にペルーが、1825年にボリビアが、それぞれ独立。以後、政治、経済的にそれぞれ違った展開をしてきました。以下では、独立以降のペルー、ボリビア、チリの歴史と現状を見ていきましょう。