ギアナグループ
スリナム共和国、ガイアナ共和国、仏領ギアナ
カイエチュール滝(ガイアナ) cc Bill Cameron
今日、南米大陸の北東部に並んで存在する三つの小国(ガイアナ、スリナム、仏領ギアナ)は、それぞれイギリス、オランダ、フランスの植民地としての長い歴史を持つ非スペイン語圏です。3つの国*に共通するのが、この地域がかつてオランダ領か、オランダ領の一部だったことです。
南米大陸の北東部は、最初、ポルトガル入植者の手で砂糖生産が盛んに行われた地域です。スペインへの併合(1580-1640年)によるポルトガルの弱体化に目をつけたオランダは、1654年まで同地域を占領し、砂糖産業の拠点とする植民地経営を行います。
巨額の富をもたらし砂糖産業を支えるために、同地域では積極的にアフリカ奴隷を受け入れましたが、1834年にはガイアナで、1848年には仏領ギアナで、1963年にはスリナムで、それぞれ奴隷解放令が出され、砂糖産業は一時停滞しました。
その後の労働者をインド・パキスタンに求めたことも3国同様です。よって、これらギアナグループ三カ国の人口構成は、非常に似通ったものになっていて、オランダ領だったスリナムには、同様にオランダ領だったインドネシア系住民が、仏領ギアナには、元フランス領だったベトナム難民が、それぞれ多数存在するという特徴があります。
以下では、3カ国の状況を簡単に見ていきましょう。
* 仏領ギアナは、現在フランスの海外県ですが、便宜上、ここでは国として扱います